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2010年度火薬学会賞

技術賞  松村知治 君
「エネルギー物質等の衝撃起爆に関する研究」

 松村知治君は,これまで火薬類の安全性評価の実施,また大規模野外爆発実験への参画により, 実社会における火薬類の取り扱い安全性の向上,爆発影響の低減化方法の検討など,鋭意研究を進めてきた。
 推薦論文「衝撃加圧によるリン酸トリ-n-ブチル/発煙硝酸混合物の反応伝播」においては, 光学的,電気的手法の両手法において当該混合物の反応伝播速度を測定し, 入射衝撃圧力の強さにより混合物が異なるメカニズムで爆発に至ることを検証した。 当該混合物は使用済み核燃料からウランやプルトニウムを抽出する反応系であり, 核燃料の再処理には欠かせない工程である。今回得られた知見は, このような潜在的な爆発危険性を有する物質に対して,その危険性を回避するための貴重な知見である。
 また推薦論文「モルタル,軽量コンクリート,砂をギャップ材に用いた可塑性爆薬のカードギャップ試験」においては, 隣り合う薬室間の殉爆を隔壁で防ぐ火薬庫の隔壁となる材質について,爆薬量を10 gから20 kgまで変動させ, 爆・不爆のギャップ長を求めてその相関関係を確認した。隔壁で殉爆を防ぐ火薬庫は, 同一貯蔵量の従来の火薬庫に比べて保安距離を短くできる可能性を有している。 本データは火薬庫隔壁の材質・仕様を決定する上で有用なデータとなり得るものである。
 以上,2編の論文の研究成果は,再処理業における安全操業の継続, 隔壁で殉爆を防ぐ火薬庫の実用化に大きく寄与するものであり,技術賞に値するものである。

推薦論文

略歴

1993年3月 東北大学大学院工学研究科博士課程修了
博士(工学)(東北大学)
1994年1月科学技術庁無機材質研究所 COE特別研究員
1994年4月通商産業省工業技術院物質工学工業技術研究所入所
2001年1月独立行政法人産業技術総合研究所に改組 主任研究員
現在に至る
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