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2003年度火薬学会賞-奨励賞

松川 誠 君

「ピクリン酸金属塩の合成と特性評価に関する研究」

 我が国では、ピクリン酸は、第一次世界大戦から第二次世界大戦の終了まで軍用爆薬として用いられた。その当時、ピクリン酸と金属が反応して、不安定なピクリン酸の金属塩を形成することが知られていた。事実、鉛塩は、ドイツでは起爆薬としての用途が研究されていた。

 環境中へのピクリン酸の偶発的な流出を考えると、種々の金属塩の生成が考えられるが、現在まで、合成のメカニズム、化学的及び火工特性についてほとんど研究されていなかった。

 松川君の研究では、鉄塩、亜鉛塩、銅塩について、いくつかの合成ルートで合成され、元素分析、X線蛍光分析、FT-IR分析により分子構造を同定し、DSC、TG、結晶水量の測定等を丁寧に行い、熱的特性、活性化エネルギの価値あるデータを得ている。

 また、Li、Na、K、Rb、Csの5種のアルカリ金属塩、Mg、Ca、Sr、Baの4種のアルカリ土類金属塩について同様に合成され、上記の分析手法で同定され、熱的特性のほかに、落つい、摩擦感度試験結果が示され、貴重なデータ集となっている。

 以上の研究は、ピクリン酸塩の基礎的データを示したものとして重要であり、奨励賞に値する研究成果である。今後の研究の展開を期待したい。

推薦論文
“The synthesis of iron picrates”
 ─ Kayaku Gakkaishi, Vol.63, No.4, 151 (2002)
“The synthesis of zinc picrates”
 ─ Sci. and Tech. Energetic Materials, Vol.64, No.4, 145 (2003)
“The synthesis of copper picrates”
 ─ Sci. and Tech. Energetic Materials, Vol.64, No.4, 175 (2003)
“Synthesis and properties of alkali metal picrates”
 ─ Sci. and Tech. Energetic Materials, Vol.64, No.5, 183 (2003)
“Synthesis of alkaline-earth metal picrates”
 ─ Sci. and Tech. Energetic Materials, Vol.64, No.6, 227 (2003)

略歴
1998年3月関東学院大学工学部工業化学科卒業
昭和金属工業(株)入社 研究開発部配属
現在に至る

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