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2003年度火薬技術賞-技術賞

秋吉美代子 君

「エアバッグ用ガス発生剤の熱的挙動に関する研究」

 自動車用エアバッグは、事故発生時の搭乗者への衝撃緩和のために開発されたものであり、一般市民の間に広く普及している火薬技術応用の典型的製品である。エアバッグが搭載されはじめた当初は、運転者の正面用のみであったが、その後、助手席正面用、更には側面用等の数多くのエアバッグが標準的に装備されるようになってきている。エアバッグにより一命を取りとめた事故事例も多く見受けられ、火薬類の開発・製造・消費等に携わっている技術者として喜ばしい限りである。

 初期のエアバッグ用ガス発生剤は、アジ化ソーダを主成分とするものが主流であったが、アジ化ソーダの生体に対する有毒性があることや、銅や鉛等と反応して爆発危険性の高い金属アジドを生成するために使用されなくなり、非アジド系のテトラゾール誘導体等が使用されるようになってきている。

 本研究では、次世代のガス発生剤の候補である種々の金属錯体硝酸塩等の着火性、分解反応特性、燃焼速度、燃焼温度、燃焼ガス組成等の熱的挙動を測定・評価しており、新しいガス発生剤開発につながる貴重なデータを取得している。これらのデータに基づいて、着火性が良く、燃焼ガスがクリーンで、安全性が向上したガス発生剤の改良・開発が加速され、搭乗者の安全確保の信頼性をより高めることに大きく貢献することが出来るものと考えられる。よって、本研究は、技術賞に値するものと認められる。

推薦論文
“Thermal behavior of various metal complex nitrates (III)”
 ─ Cu complex of aminoguanidine ─
 ─ Kayaku Gakkaishi, Vol.62, No.2, 73 (2001)
“Thermal behavior of various metal complex nitrates (IV)”
 ─Ni complex nitrates ─
 ─ Kayaku Gakkaishi, Vol.62, No.4, 161 (2001)
“Thermal behavior of various metal complex nitrates (V)”
 ─Co complex nitrates ─
 ─ Sci. and Tech. Energetic Materials, Vol.64, No.2, 61 (2003)
“Thermal behavior of 5-amino-1H-tetrazole”
 ─ Influence of the additive on the ignitability ─
 ─ Sci. and Tech. Energetic Materials, Vol.64, No.3, 103 (2003)

略歴
1987年3月九州工業大学工学部工業化学科 卒業
1989年3月九州工業大学大学院工学研究科修士課程環境工学専攻 修了
1989年4月新日本製鐵株式会社 技術開発本部 先端技術研究所
化学研究センター研究員
1990年6月新日本製鐵株式会社 技術開発本部 大分技術研究部
製鋼研究グループ研究員
1995年5月新日本製鐵株式会社 退社
1995年6月九州工業大学 工学部 物質工学科 応用化学教室 助手
2003年10月独立行政法人 産業技術総合研究所 爆発安全研究センター研究員
現在に至る

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